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植物的生活701
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仕入れで京都府の南部に出掛けたら、野生の藤 (Wisteria floribunda) の花が真っ盛り。
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仕事も早く終わったので、そのまま奈良に足を伸ばしてみました。

ここ数年行けなかった春日大社神苑 萬葉植物園の藤の花が見頃だろうと思ったからです。

入園してみたら、まさにベストシーズン!
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ホンベニフジ (本紅藤 Wisteria floribunda ' HONBENI' )


春日は古代からのフジの名所だけあって、春日大社神苑 萬葉植物園には多くのフジの品種が集められています。
仕立てが棚づくりでなく、立木づくりが多いのも見どころのひとつです。

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 キュウシャクフジ (九尺藤・左 Wisteria floribunda ' KYUSYAKU' ) と シロノダフジ (白野田藤・右 Wisteria floribunda ' SHIRONODA' )の立木づくり。人と比べると花房の長さが良く判ります。

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ジャコウフジ (麝香藤) の立木づくり。散り敷いた花が美しい。


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ショウワベニフジ (昭和紅藤・左 Wisteria brachybotrys 'SHOWA-BENI') と  
ナガサキイッサイフジ (長崎一歳藤・右 Wisteria floribunda ' NGASAKI-ISSAI' ) の立木づくり。昭和紅藤はノダフジ系でなく、ヤマフジ系なんだな・・・。
ヤマフジ系は花穂が短いのですが、ひとつの花はノダフジ系の倍くらいの大きさがあります。葉も大ぶり。



同じくヤマフジ系のオカヤマイッサイフジ (岡山一歳藤 Wisteria brachybotrys ' OKAYAMA-ISSAI' ) 。
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房が短く、ブドウのようです。


こちらは棚づくりですが、クチベニフジ (口紅藤 Wisteria floribunda ' KUCHIBENI' ) と
ヤエコクリュウ (八重黒龍 Wisteria floribunda ' YAE-KOKURYU' ) の組み合わせ。
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ショウワベニフジ (昭和紅藤 Wisteriaa brachybotrys ' SHOWA-BENI' ) と
クチベニフジ (口紅藤 Wisteria floribunda ' KUCHIBENI' )の藤棚。
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本紅藤との違いがよく判らないのですが、シンベニフジ (新紅藤 Wisteria floribunda ' SHINBENI' ) の棚作り。
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ひときわ花色の濃い コクリュウフジ (黒龍藤 Wisteria floribunda ' KOKURYU' )。
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様々な花の美しさを堪能したあとは支柱の立て方を観察。
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この高さに棚を設定して、立木仕立て部分と組み合わせると、斜め上から藤を観賞出来るので、他ではあまり無い視点でとてもいい感じ。
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本紅藤のピンクを見越して、紫や白の藤を眺めることが出来る 「藤の谷」 といった面持ち。



対岸に撮影スポットを設けたり、棚に隣接するように八橋を渡すというのも、なかなかに考えられたプランです。
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あちこち覗きこんでいたら、ツルの剪定をされている方がいらっしゃったので、ここぞとばかりに管理方法の質問攻め!w

藤の手入れ方法は限られた書物しかなく、そのほとんどに同じ手入れ方法が紹介されているのですが、それを実践しても花付きが良くならないことを体感していたからです。
山に自生するフジや、公園や庭園に植えられたフジの花を観察しても、本に書かれてある内容と花の咲き方が違うことが多いのです。


同じ手入れ方法が書かれた最近の本はあまり参考に出来ないので、ここ二・三年は30年ほど前に出版された古い藤の本に書かれていた、

「フジはツルが出る度にきらなくてはいけないから大変」 

というフジを上手く育てる年配女性の言葉から剪定方法を類推して、試行錯誤で管理していました。

それで庭の藤の花が良く咲くようになったのですが、藤栽培歴は10年程度しかないので、株が充実してきたらから花が咲くようになったのか、剪定方法のお陰なのかイマイチ確証を持てなかったのです。


矢継ぎ早に質問をしていたら、柵の中にまで入れていただき、詳しく教えて下さいました!
やっぱり、実際に植物を育てている人の話は信ぴょう性が違います。もう本当に勉強になりました。





この後に知り合った、公園関係のお仕事をされている方も、本に書いてある藤の手入れ方法を実践しても花が上手く咲かないと言っていたので、他の方にも参考になるでしょうし、自分も忘れぬようここに記しておきたいと思います。


① ノダフジ系は短枝だけでなく、長く伸びた蔓にも花芽を付ける。ただ、ヤマフジ系とは違って冬芽の段階で葉芽と花芽を見分けるのは不可能に近い。
なので、冬剪定(というか春剪定) は花芽がふくらみ出してから行う。

  
(植物事務所COCA-Zも育てているノダフジで何度も冬芽を判別しようとしていたのですが、藤のプロでも見分けがつかないのに、藤の栽培歴10年程度の者に出来る訳ない・苦笑。ヤマフジ系は冬芽で簡単に判断出来ます。)

② 花ガラは全て摘み取ってタネを付けさせない。


③ 花後に伸び出すツルは、4~5節伸びた段階で先端を手で摘み取る。その後またツルが伸び出すので、4~5芽のびたら先端を摘む、の繰り返しを8月まで続ける。

(植物事務所COCA-Zは、手入れできる時間の制限もあって、もっと伸びてから伐り戻していたのですが、早めに摘むほうが良さそうです。)


④ 肥料は花後にお礼肥として有機肥料を化成肥料を混ぜて表土にバラまく。寒肥えは有機肥料を根元5か所くらい穴を掘って埋める。


⑤ 藤の枝は枝垂れているほうが美しいが、枝元より枝先を下げると枝が衰弱して枯れてしまう。そのため、萬葉植物園の藤園では、毎年支柱を交換して枝を交互に上げたり下げたりして衰弱を防ぐと共に、景観的に美しくなるよう手入れしている。

(この植物園、藤が200株もあるのに、気が遠くなる手間です!管理は5~6人でやっているとの事。)

⑥ 九尺藤などの花房は開花しながら長く伸びていくが、最近は花房の下を齧る虫が出て成長を止めてしまうので、長く伸ばしたい時は虫に注意。幹にはテッポウムシが入ることもあるので、そちらも注意が必要。(萬葉植物園では、テッポウムシの駆除で幹を削った後、墨汁系の塗り薬を塗布している)
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これらの手間をかけて、この美しい藤園が守られているそう。

昨年は枝が混み合ってきたので、いつもより大胆な枝透かしを行ったそうで、今年の花は例年より少し少ないそうですが、それでも大変に美しい。
来年は更に多くの美しい藤の花を楽しむことが出来るでしょう。

今年は例年より一週間ほど開花が早いですが、まだ楽しむことが出来ると思うので是非、春日大社神苑 萬葉植物園にお出で下さい!(写真はすべて2016年4月29日撮影)
来年も楽しみです。



周辺の奈良公園ではこんな景色も見ることが出来ます。
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以前、御紹介したこの場所は鹿を追いこむための金網が設置されて、すっかり以前の面影は無くなっていましたが、近くに野生の藤に囲まれた、こんな場所も見つけました。
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by coca-z | 2016-05-01 20:00 | 701-710
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植物事務所COCA-Z(コカジ) 植物的生活               註)本ブログに記載されている広告は自動的に挿入されているもので、植物事務所コカジに一切関係はありません。
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