今週は施工のため、初の沖縄本島へ出張に行き、本日戻りました。
植栽工事を行う家に泊めていただき、お施主様たちと共に施工を行うという業務内容です。
現場に着くと、美しい音色でさえずるシロガラがお出迎え。
現場の家には雨水を利用した小さな池がふたつあり、夜になると、池に住むリュウキュウカジカガエルが小鳥のような気持ちの良い歌声を聞かせてくれます。
カジカガエルの声を聴きながら眠るのは素敵な体験で、周囲の静かな環境の中、とても魅力的なサウンドスケープが広がる場所でした。
植栽工事は(有)野国農園さんの多大な協力もあり、無事終了したのですが、現場の写真はいずれ掲載される雑誌に譲ることとします。
最終日、写真家の市川かおりさんの案内で沖縄のランドスケープの視察に出かけました。
夕日を受けて輝く首里城。
琉球国王は太陽と同一視されていたため、朝日を背景に西向きに宮殿が建てられた、との説があるそうで、夕日の時間に訪れると、赤と金色に塗られた正面の壁が眩い光を放ちます。
この日は雨が降ったり止んだりの天気で、宮殿前広場が濡れていたため、床が鏡のようになって一層美しい景色でした。
やはり違う文化圏だけあって、城壁の石積も九州以北で見るものとは、まるで違います。
王城には10か所の神聖な拝所があり、壁で囲まれた空間には木が茂っていました。
日本を含む世界中で見られる、樹木信仰の形態のひとつとも言えるかもしれません。
撮影禁止だった王宮庭園はソテツと石灰岩の自然石を使った他には見られないもの。
背景となる石塀の部材を小さくして、手前の自然石を大きく見せるなどの工夫が見られます。
学生の頃から一度訪れてみたかった名護市庁舎も、今回初めて訪問することが出来ました。
1981年に竣工した建物ですが、すでに遺跡のような風格があります。
できるだけ自然の風を屋内に通したり、テラスを週末にも市民に開放するなど、環境やコミュニティにも配慮した素晴らしい建築で、植物事務所COCA-Zは大変な感銘を受けました。
他にも感銘を受けたのはカフェ 「浜辺の茶屋」 と 「山の茶屋・楽水」 。
同じオーナーのカフェだそうですが、山の茶屋周辺は新しい庭園工事が進んでいて、この5月にオープンする予定とのこと。
周辺の地名から 「サチバルの庭」 と名付けられていますが、きっと沖縄を代表するガーデンとなることでしょう。
そして、首里城とならぶ世界遺産の斎場御嶽(せーふぁーうたき)。
かつては王族のみが入ることを許された聖域です。
ここでは信仰の対象となる場所が世界遺産に指定されることによる功罪と、信仰の場所にも容赦なく降りかかる戦争について考えさせられました。
斎場御嶽(せーふぁーうたき)内にある小さな池。
ヤモリやオタマジャクシが泳いでいて、のどかな風景に見えましたが、説明を読み、第二次世界大戦中に落とされた爆弾によって出来た穴の跡だと知ると、見えてくる景色が違ってきます。