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植物的生活441
先日、近くまで行ったので、久しぶりに京都・哲学の道にある YUKI PALLIS COLLECTION(ユキ・パリス・コレクション) さん を訪れました。
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ユキ・パリスさんのことは2008年の4月に、美術館「えき」KYOTOで行われた展覧会を偶然見て知ったのですが、それはそれは溜息が出るような美しい手工芸品のコレクションをされていて、展覧会も大変充実したものでした。


その後、ある本にユキ・パリスさんの庭が掲載され、その雰囲気がとてもいい感じだったので、是非拝見したいと思い、伺ったのが2011年の初夏。

その時に見た庭のモミジの剪定方法がとても美しかったので、ちょうど紅葉の季節、どんな雰囲気になっているか確認したかったのです。


一階のアンティークショップに入ると二年半ぶり、まだ二回目の訪問だというのに、スタッフの方が植物事務所COCA-Zのことを覚えていてくださりビックリ。

前回訪問時も、庭が主目的だったことまで覚えていて下さり、今回丁度いらっしゃったユキ・パリスさん御本人にお話し下さって、普段見ることが出来ない場所からも庭を見せていただくことが出来ました。



こちらは外の道路から見た庭の全景。
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現在では少なくなった杉 (Cryptomeria japonica) の生垣に囲まれた建物です。
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黄色く色づいているのはアオギリ(Firmiana simplex)。
大きな葉っぱも面白く、植物事務所COCA-Zは結構面白い庭園素材だと思っている木なのですが、幹肌の色が暗いせいか、現代ではあまり好まれないようで、公園などでも新しく植える事例をほとんど見たことがありません。

こちらは普段入れない場所から見上げたアオギリの黄葉。
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青空に映えて綺麗です。
アオギリは古いお宅などに植えられていることが多いせいでしょうか、ノスタルジックなイメージがあって、大正ロマンの夢二や、近代の日本画を想い出させます。



以前、記事を読んだところによると、ユキ・パリスさんは一年のうち長期間を海外で過ごすことも多いので、あまり手のかからない庭にしてらっしゃるとのこと。

それでも庭は手入れが行き届いていて、そのセンスが伺われます。
庭師の方も、年に何回か手入れに来られるそうですが、普段の生活から庭に対して高い意識がなければ、このような雰囲気は生まれないでしょう。

植物事務所COCA-Zが理想とする庭のひとつです。



ただ、残念ながら、植物事務所COCA-Zの技量では、写真でここの良さを写し取ることが出来ません。。。

杉の生垣以外の場所はキヅタ(アイビー)で覆われた塀になっていて、美しい緑の背景となっています。

植えられている木はカリン、カキ、ソヨゴ、モミジ、ウメといった普段からよく目にする植物。
地被はノシランかジャノヒゲと思われる植物がベースになっていて、その間にシランやヘレボラス、ギボウシといった季節を感じることが出来る草花が植えられています。

こちらは母屋と離れをむすぶ渡り廊下のつる草。
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ハゴロモジャスミン、スイカズラ、モッコウバラが絡められています。
いずれも香りのよい植物。それぞれの花の時期には嗅覚でも楽しむことが出来るのでしょう。


表の庭にはクジラを想わせるような庭石も据えられています。


植物事務所COCA-Zにとって、ここが理想の庭だと思う理由は以下の3つの点です。

●珍しい植物を使わず、さりげない空間の構成で魅力を産み出していること
(古今東西、珍しい動物や植物を集めて庭を作るのは文明の初期に多く見られる手法です。その方法はとても判りやすく、植物事務所COCA-Zも珍しい植物を見るのはとても好きですし、珍品展示というのは興味が無い人にもアピールする強い力があって効果的なのですが、美学的にはやはり一番簡単な方法になるでしょう。そのような目玉を使わず、見慣れた素材だけで魅力的な庭を作るのはとても難しいことなのです。)

●何かの景色を再現しているのではないこと
(日本庭園の多くは海の景色を縮小して再現したものですし、茶庭の露地や昨今流行りの雑木の庭も山里の景色を再構成したもの。カタカナで 「イングリッシュガーデン」 と呼ばれるジャンルも、英国のコテージガーデン(Cottage garden)を真似たものです。そういった本物に似せて庭を造るのではなく、ありのままの植物や空間を、そのまま見せて、なおかつ魅力的という庭は現代日本でとても少ないのです。)

●既存の植物を上手く管理しながら庭に取り入れていること
(アオギリやウメなどは、幹の太さと植栽場所から察するに、以前の庭からそこに生えていたものだと思います。すべてを一新して空間を創り上げるのではなく、過去の時間と折り合いながら新しい時間を紡いでいくという姿勢は、庭だけでなく、低成長期を迎えた日本の社会にとても大切なことではないでしょうか。)

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(杉の生垣が通路側へ倒れるのを防いでいるのだと思いますが、その解決方法もシンプルで美しい。)



ユキ・パリスさんは、この庭で一番好きな景色はキッチンのドアから出た場所から見る東向きの風景と仰られていました。

自分の庭でお気に入りの場所があり、それをちゃんと意識して暮らすというのは、とても贅沢で豊かな生活なのだと感じ入りました。


京都に行かれる方は是非、この素敵な場所にお立ち寄りください。
二階にある手芸コレクションのミュージアムも大変素晴らしく、一見の価値があります。




by coca-z | 2013-12-05 00:00 | 441-450
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植物事務所COCA-Z(コカジ) 植物的生活               註)本ブログに記載されている広告は自動的に挿入されているもので、植物事務所コカジに一切関係はありません。
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