ずっと行ってみたかった山口県防府市にある 「月の桂の庭」 を見学してきました。
300年ほど前に造られたこの庭、以前は普通に公開していたのですが、いつでも行けると思っているうちに2001年に非公開になり、その数年後から、年に2日間のみの公開となっています。
今回の公開日前後には仕事もあったので、現地滞在は一日のみ。旅費も節約のため、現地宿泊無しの夜行バス連続二泊という強硬軍。(年齢を考えろって感じです・苦笑)
でも行ってみて良かった!
想像していたよりも小じんまりとして素朴で、そして今まで見たどの古庭園とも違う雰囲気の庭でした。
雨上がりだったのですが、ジメジメした雰囲気が全くなくカラッと乾いた感じで、イサム・ノグチの作品を想わせます。(というかイサム・ノグチがこの庭の影響を受けている、と言う方が正しいのでしょう。)
朝、防府駅についてすぐタクシーに飛び乗り(バスは本数が多くない)、九時から始まる初回見学に参加したのですが、既に人がいっぱい。
石を重ねた造りが面白くて不思議だと、昔からずっと思っていたのですが、敷地から見える山を見て合点がいきました。
カメラが壊れかけで、沢山あったものの一部しか撮影出来ませんでしたが、こんな風に山には自然に折り重なった岩が沢山あるのです。
きっと岩を重ねて設置するのも、それほど不自然に感じなかったのだろうな、と想像。(日本全国の山と同じように、江戸時代には燃料等の過剰利用で、防府の山も多くはハゲ山だったそうですから、当時はもっと岩がよく見えたでしょう。)
それでもこういった岩を重ねて設置する庭は他府県に限らず、この地方にも他に無いのですから、素晴らしい独創性だと思います。
写真で見て、ずっと不思議だと思っていた縁側の板の張り方も
月の出る方角を指し示してるんだ、と勝手に納得したり、
本や雑誌の写真にはほとんど登場しない、築地塀のこんな隅っこまで石を配置するバランス感覚が不思議だったり(でも実物を見ると全然ヘンじゃなくて、しっくりくる)、
一番の上座から見える景色がこれで、
作者は有名な三日月形の岩でなく、この赤丸の岩を一番見せたかったんだな、と勝手な解釈をしたり。
(この岩だけ産地が違うようで、青味に白い模様が入って綺麗な石でした。カメラの不具合でその美しさが写っていません・・・。そしてこの岩も両側を別の石に支えられて少し浮いて設置されています。)
見学では、庭の右側の門は殿様が使うもの、と説明がありましたが、
そうすると青丸の岩の顔(一番表情のある側)が、座敷のほうに向きすぎているように感じます。
岩の裏側は平らで表情が無さそうなので、普通ならもう少し反時計回りに回して、門からも、座敷からも見栄えが悪くないように設置するのではないかと思えます。
「実際に門から入ったら、どんなふうに見えるかな?」と興味を持ったので、カメラを使って塀越しに写真を撮ってみました。(こういう時、デジカメは便利。)
やっぱり、岩の裏側は真っ平ら。
でも写真を拡大してみると
なんかウサギに見える!!!
案外、これが狙いだったりして・笑
現地で見ないと判らない発見が色々あって、やっぱり実物を見るのは勉強になるな、と再認識です。